Tune-O-Matic サドルの製造方法について |
現在市場に出回っているTune-O-Matic Bridgeの多くにみられる亜鉛合金製のサドルは、溶かした金属を型に流し込む鋳造という方法により作られている。これは大気中で単に鋳型に流し込んだだけであるので多孔性であり、金属の質として見た場合、決して良いとはいえない。実際、その組織を拡大鏡などで視てみると、スカスカで、まるでスポンジの様である。いかにも脆そうで見た目も美しくない。でも悪い点ばかりでなくメリットもある。複雑な形状をローコストで数多く作るためには適しているのである。また鋳造の一種で、溶融した金属に圧力をかけて成型するダイキャスト製法も、昨今の技術の向上により、ガスの巻き込み等を極力抑え、きめの細かい製品を作り出すことが出来るようになった。ご存じのようにたいへん複雑な形状を持つTune-O-Matic Bridgeである。量産するためにはこの方法以外は考えられないであろう。これをいちいち削り出しでやっていた日には、安いギターが1本買えてしまう。しかし、ギターサウンドの原点でもある、弦の振動を直接受けるサドルの部分くらい、もう少し手間暇かけて作ってみたらいかがなものか? K.T.Sのチューン・オー・マチックサドルには、真空アーク溶解炉にて産まれた、大きな鋳塊(インゴット)をさらに分塊、圧延した展伸材(wrought products)と呼ばれる、ワイヤーロッドが使用される。数回にわたる冷間圧延工程の後、サドルの側面からみた形状に成型されたロッドはさらに、圧延によって金属内に生じたストレスを開放するため、また、若干破壊された結晶組織を復元するため、高温のアルゴンガス雰囲気内で一定時間、アニーリング(annealing)という熱処理が施される。そしてようやく最後の切削工程へと進むわけである。 「だからどうなのよ?」と言われてしまえばそれまでなのだが、弦振動の支点となる小さなパーツに大きなこだわりを持つという我々の姿勢のみご理解いただけたら幸いである。 |
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